top of page
プライドフラッグ

臨床に携わる医師向けに『LGBTQに関するヘルスケア学習プログラム』を開発しました。

2022年度は月に1回の頻度でオンラインで開催し、

半年間に渡ってこの学習プログラムを提供しました。

オンライン学習会では、講義だけではなく

当事者の方に体験談をシェアしていただいて対話をしたり

ロールプレイを用いた問診の練習といった実践的な学習を行うことで

臨床の場で生かせるレベルまで学習を深めました。

このページでは、参加者の方の感想や、提供した内容を紹介します。

プログラムに関して更に詳細に知りたい方は、

日本医学教育学会の学会誌で報告した論文をご覧ください。

にじドク学習コース2022の報告

参加者一覧(2023年3月現在。敬称略

総合内科専門医   石田 恵梨

とよさきメンタルクリニック   斉藤 里菜

福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 家庭医療専門医      星 吾朗

金 弘子

 高崎中央病院 家庭医療専門医       比嘉 研

 大阪医療センター 緩和ケア内科 緩和医療専門医   相木 佐代

 産業医科大学 精神科      高岡 慧

 やまと在宅診療所栗原 在宅診療医、社会医学系専門医     土屋 菜歩

 永平寺町立在宅訪問診療所 家庭医療専門医  楠川 加津子

総合診療科 専攻医  河野 絵理子

宏潤会だいどうクリニック 家庭医療専門医・小児科専門医  杉山 由加里

長野県立こども病院 小児科 専攻医          光武 鮎

細いストライプ

参加者の感想

私は、緩和ケア医として働く中で、LGBTQの方が最期まで自分らしく過ごす事の難しさに直面する事が多く、より的確な支援が提供できるようにと、受講を希望しました。本コースでは、教科書である「医療者のためのLGBTQ講座」により体系的な知識が習得でき、課題図書や映画を通して、自らの思考パターンや価値観に対して自覚的になる事ができました。加えて、差別の構造やLGBTQの歴史など、現状に至った背景について知る事が出来ました。また、模擬面接のロールプレイもあり、LGBTQの方を診察する上で留意すべき点について、実践的に学ぶ機会も得ました。私は所謂「セクシャルマジョリティー」であり、現在もLGBTQを受容する過程の途上にいます。しかし、敢えてマジョリティー側の立場の人間が、LGBTQに関する課題について発信していく事の重要性も感じており、この経験を少しでも日々の診療に活かせる事が出来ればと思っています。

国立病院機構 大阪医療センター 緩和ケア内科
相木 佐代 先生
高崎中央病院 総合診療
比嘉 研 先生

医療者として必須の知識でありながら、学ぶ方策がつかめない領域だと感じている時に学習会の開催を知り、受講を申し込みました。興味深くずっしりと手応えのある事前課題、講義と当事者の語りや模擬医療面接があり、学習会の終了時には毎回、脳内のブドウ糖が枯渇した疲労感と共に、新しい知識と新しい態度を得られた前向きなエネルギーに満ちていました。プログラム全体を通して、当初考えていた以上の知識が得られたことはもちろんですが、事前には予測さえできていなかったことがあります。それは「自分は一体何者なのか」を突き詰めて考えること。認知の変容が促され、自分自身を再構築せざるをえない感覚がありました。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、このことこそが、本学習会の副産物にして私にとって最大の収穫でした。世界を変えるにはまず自分が変わらなくてはならないことを経験した、稀有な学習会でした。ありがとうございました。

匿名希望

参加する前のわたしは、当事者の方が差別偏見を受けていることに苦しくなり、自分にできることがなくて悩んでいました。学習コースに参加して、人生の中で喜びや達成感を得て、自分らしく生きている当事者の方がいる、ということを知りました。抑圧に抗い権利を獲得してきた歴史を知りました。当事者の方をサポートしたり繋げるツールがあることを知りました。そして何より、これからも一緒に学び繋がっていきたい方々に出会いました。

講師の一人の方が、「サポートやアドボカシーを行う立場において、自分の考えや視点を知ることが大切」とお話しされていました。この学習コースは、LGBTQのことを学びながら自分と向き合う学習会でした。

そして、LGBTQ/SOGIEについて学ぶことは、人権について学ぶこと、すべての人が尊重され自分らしく生活できる社会を作ることなのだと思いました。

学習コースの内容

LGBTQと医療概論

学習目標

・LGBTQの患者を歓迎する受診環境を作る方法を述べられる

・セクシュアリティに関連した用語を理解し、適切に使用できる

・ LGBTQの人々のさらされている健康格差や健康に関する行動(メンタルヘルス、物質依存を含む)

    について概説できる

・ LGBTQの人々が直面することのある医療アクセスの障壁について説明できる

・性的指向や性自認を変更する行為に科学的な根拠はないことを認識する

事前課題

・書籍『医療者のためのLGBTQ講座』(吉田絵理子 総編集, 南山堂, 2022)

・自己紹介のスライドを作成してくる

・学習コースでの課題(自施設での実践プロジェクト)について案を考えてくる

学習会の学習コースの全体像と獲得目標を共有し、LGBTQと医療の概論のレクチャーを行いました。

6か月にわたる学習会のスタートとして、お互いを知って安心した場を作るため、参加者全員から自己紹介をしてもらった後に、スモールグループに分かれて、事前課題の感想、実践プロジェクトの案の共有をしました。

bottom of page